ひとつひとつ手作業で制作する吹きガラスの作品については、気泡や脈理(みゃくり)とよばれる筋のようなものが入ることがあります。この写真は竿を付け替える際に少し欠けたガラスがくっついてしまったもの。
ポンテ竿に付け替えているところ。(写真集「熱と空気」より )
こちらは気泡。
真ん中あたりについている筋のようなものはジャックと呼ばれるガラスの形を整える道具を使った際についたもの。
こちらがジャック。(写真集「熱と空気」より )
気泡が入って色が抜けてしまったもの。
こういった現象は工業製品だったり、納品先によっては不良品としてはじかれてしまうものです。 筋や気泡が入っってしまったものは売り物にはならない。
吹きガラスを始めた当初は私の技量などまだまだで、いつか個展とか開いてみたいとは思いつつなかなかそう思えるまでに至りませんでした。 何度かイベントなどで販売させていただいた時に私がダメだと思っていた部分 「気泡」「ゆがみ」「同じ大きさではない」 そういったところを愛でてくださる人が多いことに気が付きました。
「この子とこの子を並べるとかわいい。」とか、「このぽってりとした感じがまたいい。」とか。
同じものを作れほうがもちろん技術的には良いのですが、それなら工業製品の方がいいのかもしれません。 同じ大きさ、同じ形を作れるというのは本当に難しく、技術的には目標のひとつではありますが、ひとつひとつ個性がある物も良いのかもしれません。
吹きガラスの作品がどのような場所で生み出されるのか、どのような道具を使うのか、グラスの制作過程、窯替え、ガラスの美しさなどをまとめた写真集「熱と空気」。 この写真集を作るにあたり、吹きガラス工房GGGの皆様には撮影協力だけでなく、文章なども見ていただきました。 またデザインをお願いしましたタカギトオルさんにもデザインだけでなく、文章から現像、セレクトまで長期にわたりアドバイスを頂きました。 印刷に関しては当初ネット印刷を考えていたところ、色の出方など納得できないものがあり、友人に紹介していただいて京都の修美社さんにお願いできることになりました。短い期間の中で個展に間に合わせていただき、また箔押しなどもご提案いただき、より良い作品集になったと思います。たくさん人の力をお借りしてできた写真集。 たくさんの方に見ていただきたい作品集です。
新型コロナウイルスの影響により、写真展は来年以降にどこかで開きたいと考えています。 また吹きガラスの制作も今のところお休みしていますが秋には復活したいなと思っています。